【Health Science Blog】Vol.16「足のアーチってあった方がいいの?何の役に立つの?」

shutterstock_478538809 (1)

ウォーキングやジョギングに興味のある方なら、一度は足のアーチについて聞いたことがある人は多いと思います。
むしろ、そこまで運動をしてこなかった人でも、足のアーチについて全く知らない人は少ないかと思います。

それでは、足のアーチって結局何の意味があるのでしょうか?
あった方が良いのでしょうか?無くても良いのでしょうか?
ここまで掘り下げると、、、今度は答えることのできる人が激減します。

確かに、市販の靴やインソールに「アーチサポート」などと書かれていたりすることはありますが・・・そもそもなぜアーチが必要なのかの説明は、なかなか見当たりません。
なので、今回は、足のアーチについて論じていきたいと思います。

■足のアーチについて
様々な分類の仕方はありますが、足のアーチは横アーチ・内側縦アーチ・外側縦アーチの3つに分けることがあります。
アーチの形などは、遺伝的な要因も大きいですが、つま先の屈曲運動などを行うことで、アーチを形成できる可能性もあります。

a-ch

そこで、大切な問題になりますが、アーチはあった方が良いのでしょうか?
これは、Yes/Noで答えられる問題ではありませんが、以下にアーチの良し悪しについてまとめてみました。

先天的なアーチのみだと、踵を痛めやすい可能性がある。
アーチが高いということは、体重を踵とつま先で支えることになりがちです。先天的なアーチの場合は、つま先の屈曲筋を緩めても足がフラットにはなりにくいため、衝撃が踵とつま先に集中しやすいことが懸念されます。過去研究によると、特に踵に圧力が集中しやすいことが報告されています。ゆっくり歩いている時は、特に問題になりませんが、早歩き・走行・ジャンプなどを行うと、先天的に高いアーチは、踵への負担が非常に大きくなり、長期的には足を痛めるリスクが高まりがちです。

つま先の屈曲などでアーチを形成した場合は、足にかかる衝撃を分散する可能性がある。
アーチを作っておいて、足が着地すると同時に崩していくことで、つま先の屈曲筋群の伸張性収縮(Eccentric Contraction)が行われることになり、衝撃吸収に役立つ可能性があります。

過去研究によっては、つま先の屈曲筋群が衝撃吸収には役立っていないという説もありますが、つま先の屈曲筋群を鍛えることでアーチを形成ができれば、その後天的なアーチは衝撃を受けた時に崩れてきて、この崩れる時に衝撃が吸収されて関節を痛めるリスクを軽減できる可能性は十分にあります。先天的なアーチの場合は、衝撃吸収においては望ましい構造とは言えないので、アーチサポートなどを行って対応することが推奨されます。

アーチサポートは基本的にあっても損は無い。
色々な履物に、「アーチをしっかりサポート」のような文言が書かれているのを見たことのある人は多いかと思いますが、なぜアーチをサポートしたほうが良いのかについての説明はなかなか見当たりません。

結論から言うと、アーチサポートは大きさがあっていれば、あって損はありません。足の裏と履物の接地面積を増やすことで、足にかかる圧力を分散させることが可能となるため、様々な足のトラブルを予防できる可能性が高まります。特に、先述した通り先天的なアーチがある人にとっては、アーチサポートは重要になります。

過去研究からの報告によると、内側縦アーチが大切になる。
上述した通り、アーチには基本的に3種類あると言われていますが、この中で内側縦アーチが、衝撃吸収や脚の変形の予防などに役立つ可能性があると言われている。

■足のアーチの鍛え方
足のアーチは先天的な部分もありますが、つま先の屈曲運動などを意識的に行うことで、後天的に形成することもある程度可能です。そして、上述した通り、後天的に形成されたアーチには足をトラブルから守ってくれる様々な効果があると言われています。ここでは、後天的にアーチを作る運動についていくつかご紹介します。

A,Profile,Of,Two,Feet,Side,By,Side,Flexed,Inward

shutterstock_478538809 (1)

shutterstock_667255279

a-ch

〈タオルギャザー〉
地面にタオルを置き、その上に足をのせます。その後、つま先を屈曲させる要領で、少しずつタオルをたぐり寄せていきます。座った状態で行うことができるので、膝に痛みのある人などに効果的です。

〈つま先立ち歩き〉
文字通り、つま先立ちで歩くことも屈曲筋群を刺激することに繋がります。しかし、つま先立ちは連続で10歩くらいにしておく方が無難です。その後は、普通に歩いて、またしばらくして10歩くらいつま先立ち歩きをする・・ということを繰り返すことをおすすめします。

*ずっと、つま先立ち歩きを続けていると足を痛めたり、血流に問題が生じたりする危険性があります。

〈足のじゃんけん〉
図中、つま先の屈曲を「足のじゃんけん、グー」に例えることがあります。座っている時など、いつでもできるので、習慣的にやるようにしておくことをおすすめします。

秘策
実は・・・今、つま先の屈曲を鍛えることのできるインソールを開発しています。もうすぐ、某社から販売が開始する予定です。一応、リリースがあれば、こちらでも追ってアップデートいたします。

最後に・・
ウォーキング時にISEALインソールの活用をお勧めします。インソール表面の突起を足でなぞるように歩くだけで、必要な足首の動きが自動的に行われるように設計されています。また、足にかかる圧力を分散するために、単にアーチをサポートするだけでなく、衝撃をエネルギーに変換して、足や膝に負担がかかりにくいような設計にしています。世界初、三年連続でロンドンのGlobal AwardsよりMost Innovative New Care Product in the Worldを受賞したインソールをご活用ください!

www.iseal-insole/net/jp

また、科学番組をYouTubeで始めました。様々な分野をカバーしています。ゴンちゃんという食いしん坊バンザイ\(^o^)/な犬と、ミクロちゃんというスマートなネズミの愛らしい掛け合いを大切にしつつも、科学の面白さを伝えられるような番組を目指しています。話が進むに連れて、動画編集技術も進化しています! (笑)チャンネル登録して頂けると大変うれしいです!!!

https://www.youtube.com/channel/UCtLhCSgGvMYVr3haHItU-9Q

Goldmann, J., Bruggemann, G. 2012. The potential of human toe flexor muscles to produce force. Journal of Anatomy, 221 (2): 187-194.

Hessert, MJ., Vyas, M., Leach, J., Hu, K., Lipsitz, LA., Novak, V. 2005. Foot pressure distribution during walking in young and older adults. BMC Geriatrics, 5 (8).

Mickle, KJ., Munro, BJ., Lord, SR., Menz, HB., Steele, JR. ISB Clinical Biomechanics Award 2009: Toe weakness and deformity increase the risk of falls in older people. Clinical Biomechanics, 24 (10): 787-791.

文責:Dr Hanatsu Nagano